「私に会いに来て」観劇レビュー

韓国映画「殺人の追憶」の原作である、舞台作品「私に会いに来て」。

2019年9月、東京と大阪で上演されましたね。

短い公演期間でしたが、チケットが取れ東京で観てきました。

↑※上演発表時のTwitterです

映画はモンスターヒットした作品だし、主演の藤田玲さんは近年、めきめきと実力をつけている役者さん。

これは期待できそうじゃない?と思って観に行った、んですが。

正直、微妙でした・・・。

「私に会いに来て」あらすじ

1980年代後半、京畿道華城市。
次々と女性が殺害される、凶悪な連続殺人事件が起きる。
なぜこんなにも、残虐なことができるのか─────
捜査本部には、犯人逮捕のため、ソウル治安部隊から赴任してきたエリートのキム・インジュン刑事(藤田玲さん)と熱血漢のチョ・ナンホ刑事(中村優一さん)がいた。
性格も捜査方針も違うふたりは、互いに反発しあっている。
そんなふたりのまとめ役となるのは、自らの意志で移動してきたキム・セゴン課長(栗原英雄さん)だ。
怪しい人物を次々と取り調べていくが、決定的な証拠は見つからず、事件は続く。
間違いなく犯人と思われた男(グァンスさん)のDNA鑑定結果も、断定できずと出る。
疲弊していく捜査本部の面々。出入りするパク・ヨンオク記者(兒玉遥さん)やウエイトレスのミスキム(西葉瑞希さん)を含めた彼らの運命は・・・

https://www.watashiniainikite.com/introduction.html

もっと単純で良かったのでは

猟奇的な事件に翻弄されている捜査本部の刑事さんたちも、当たり前だけど普通の人。

なのでそれぞれの暮らしがあったり、恋愛模様があったりする。

それは分かるんだけど、全部入れ込まなきゃならなかったんでしょうか?という気持ち。

たくさん情報を入れてしまうことで、注目するべき点がぼやけてしまい、散漫になってしまったなという印象でした。

特に女の子たちの描き方が酷かったと思う。

新聞記者のヨンオクはウソツキでキツいだけの女の子に見えるし、
ミスキムは人の都合とか考えられない”かまってちゃん”にしか見えない。

それぞれの想い、仕事の使命感とか、正義感とかも、もやっとは表現されてるけど広く浅いから、皆ものを考えずに気分で動いてるみたいに見えてしまってた。

どれかひとつの関係性に絞った方が良かったんじゃないかと思います。

役者さんは良かったです!

微妙だと感じた主な原因は演出だと思います。役者さんたちは頑張ってました。

特に藤田玲さん、うまくなりましたね!

中村優一さんは役どころでちょっと損してたかな。荒々しく男らしい人物造形で、粗暴な男に見えてしまって。

もっとも、本人はそうじゃないのにそう見えるんですから、演技としては良かったってことですね。

兒玉遥さんはもうちょっと滑舌がよければ、印象も違ったと思うので惜しい感じ。

西葉瑞希さんは台詞も自然で良かったです。

犯人とおぼしき男のグァンスさんは、片言の残る日本語でより怪しさも増していましたし、何より表情や動きが不気味で秀逸でした。

音楽での心理表現

被害者の心理を音楽で表現する、というのは今回の演出家、ヨリコジュンさんのアイディアだそうで(パンフレット参照)。

使われているのはパガニーニの奇想曲。
ドラマチックな旋律は確かに、被害者の心理を表現していたと思います。

犯人が犯行の際にリクエストしていたと見られる、モーツァルトのレクイエムと、対になって効果を高めていました。

役者さんも音楽の効果も良かったので、全体的に微妙になっちゃったのは残念でした・・・。

映画版は練りに練られていた、と再認識

「私に会いに来て」を原作とした映画「殺人の追憶」は、韓国でも日本でもヒットしました。

映画は完全にフィクションとして作られているので、実際の事件とは被害者の造形が違っていたりします。

そんな点がドラマとしての説得力を強めて、より感情移入しやすくなっていたんだな・・・としみじみ思いました。

たとえば、それまで冷静沈着だったキム・インジュン刑事が怒りで爆発するシーン。

舞台版では年若い学生が殺された、という点で急に怒りだしたように感じてしまうんですが、映画版ではその学生と刑事は捜査途中で知り合いになっています。

心のブレーキが壊れ、爆発するのもムリはない、と思える展開でした。

また、映画では犯人像を特定できなくするように、わざと何人もの役者やスタッフを使って、逃げる姿や隠れるところを撮ったのだとか。

それも映像ならではの工夫ですよね。

公演中にモデルの事件が解決?

そういえば、この作品にはモデルになった実際の事件がありますが、その犯人は長く不明だったんですよね。

ところが、「私に会いに来て」の公演中に本国で容疑者が特定されました

すごいドラマチックな展開ですよね!驚きました。

容疑者が特定されたことで話題も高まりましたし、大阪公演を急遽 観に行った方もいらしたとか。

「私に会いに来て」は東映ビデオさんでDVDを販売するそうです。気になった方はチェックしてみては

>>舞台「私に会いに来て」予約期限:2019年10月20日

公演はもう終了してしまいましたが、映画を観てみようかな?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

Amazonプライムでも観られます。

なんだか貶してばかりになってしまいましたが・・・個々は良かったので、もし再演があればグッと良くなる可能性も高いと思うんです。

演出家さんの進化に期待したい作品でした!